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特許申請や論文投稿の関係と管理者の怠慢のため、更新はあまり頻繁ではありません。
(最終更新: 2007年05月13日 )
不斉表面−二次元の不斉構造をもつ表面をつくる
[大谷・鳥本]早稲田大学理工学部逢坂研究室との共同研究

不斉な有機分子が作る結晶が光学活性であることや、もともと不斉でない原子の集合体でも水晶のように光学活性を示すことからわかるように、原子や分子の配列によって光学活性な固体を作ることができます。これを二次元にするとどうなるのか?これがこの研究の出発点です。表面に不斉な分子をきれいに並べて共有結合で固定したらどうなるのか、実際にビナフトチオールという「ねじれ」のある(軸不斉)化合物を金の表面に固定すると、きれいなパターンをSTMで見ることができました。よく調べると「ねじれ」方のちがう二つの異性体で鏡像関係のパターンができていることがわかりました。「不斉表面」です。有機分子を共有結合で固定した安定な不斉表面の発見は世界ではじめての例です。これは、光学活性な有機分子を選択的に合成するための触媒や電極、さらにひとつの光学活性体だけに応答するセンサーなどに応用が進んでいます。


関連論文・発表

光触媒中の励起電子−正孔の再結合の評価と制御
[大谷・池田]

光触媒は今、注目を集めている新しい反応系で、環境汚染物質の固定・除去への応用がすすめられています。たとえば、空気清浄機や抗菌性の建材がすでに実用化されています。光触媒は、酸化チタンなどの半導体が光を吸収したときに生じる励起状態の電子と正孔が起こす化学反応ですが、実際には吸収された光子の数だけ反応が起こるわけではなく、大部分の電子−正孔は再結合して消滅してしまいます。このような再結合は非常に速く、だいたいピコ秒(10-12秒・光が0.3 mm進む時間)以内に起こるといわれていますが、あまりに速いためこれまでの装置では直接観察することができませんでした。最新鋭の装置であるフェムト秒レーザー分光装置は、これを可能にするもので、これを使って酸化チタンの中での電子−正孔の再結合がどのように起こっているのか、また、酸化チタンの種類によってその速さがどのようにちがうのかを観察することに世界ではじめて成功しました。この技術は、より効率の高い光触媒を開発するために欠かせないものです。さらに、再結合中心としてはたらく結晶欠陥量の測定法の開発を行い、光触媒活性との相関を解明する研究を行っています。


関連論文・発表

超高活性半導体光触媒の設計と開発
[大谷]近畿大学理工学部計良研究室など国内外の研究室との共同研究

環境浄化などへの応用が期待されている半導体光触媒反応は、半導体がバンドギャップ以上のエネルギーをもつ光を吸収することによって励起電子と正孔が生じ、これらが表面に吸着した基質をそれぞれ還元、酸化することによって起こる反応です。吸収した光子のうちでどれだけが有効に使われるかという指標を「量子収率(あるいは量子効率)」といいますが、酸化チタンなどの多くの半導体系では量子収率は相当高い場合でも50%程度以下であり、生じた電子−正孔の大部分は再結合して化学反応に結びつきません。したがって、効率を改善するためには、表面吸着基質との反応を促進するとともに、再結合を防止するような光触媒の設計が重要です。私たちは、このような作業仮説にもとづいて酸化チタンを中心とする光触媒の設計を行い、これまでとはまったく異なる新しい調製法を開発してきました。得られた光触媒は、おそらく世界でもっとも活性の高いものです。


関連論文 | 1 | 2 | 3 |・発表

半導体光触媒反応を利用する新規有機合成反応系の開発と実用化
(共同研究・研究協力を募集中)

半導体光触媒反応は励起電子と正孔による還元と酸化が基本です。これをこれまでに例のない新しい有機化合物変換反応に応用しようというのがこのプロジェクトです。これまでの酸化還元反応は、高価な試薬を使ったり、酸化剤・還元剤から生じる副生物が問題でした。光触媒反応では、このような問題は一切ありません。また、室温・常圧というきわめて温和な条件で反応が進行すること、従来の有機合成では難しかった水中での反応が起こるので有機溶媒を用いたり、反応基質を誘導体化することが不要である、光を遮断すればただちに反応が停止するので反応が暴走する危険がない、など、環境に対する負荷がきわめて低いプロセスです。私たちは、このような反応の例としてL-リシンからのピペコリン酸合成ができることを示しています。L-リシンは安価な光学活性原料で、一方、ピペコリン酸は医薬品の中間原料などとして近年とくに需要が高まっている化合物ですが、光学活性体を合成する方法がほとんど知られていませんでした。光触媒反応を利用すると、一段階の反応でピペコリン酸を得ることができます。現在、このような光触媒反応を実用化することをめざして検討を重ねています。


関連論文・発表

液液界面触媒反応系の開発
[大谷・池田・ヌル]

過酸化水素は、比較的安全、安価な酸化剤ですが、水溶液として供給されため、水溶性のない有機化合物の酸化に用いるために、アセトンなどを加えて均一系とするか、固体触媒を加えて激しく撹拌し、乳濁状態として反応(液−固−液三相系反応)させます。しかし、過酸化水素の利点を活かして、グリーンケミストリーのプロセスを構築するためには、できるだけ余分な添加物(共溶媒)を避け、後処理が容易になるよう工夫することが必要です。当研究室では、過酸化水素水−有機溶媒の界面に触媒が存在するようにすれば、効率よく反応が進行すると考えました。モデル反応系として、1-オクテンのエポキシ化を選び、標準的な条件として、30 %過酸化水素−1-オクテン二相系、室温で反応を行いました。触媒として、Y型ゼオライトにチタン(酸化物)を担持させた(w-Ti-NaY)ものと、これをオクタデシルトリクロロシランで処理して、表面に長鎖アルキル基を修飾したもの(o-Ti-NaY)を用い、これらを二相系に添加しますと、前者は表面が比較的親水的であるため水中に分散し、逆に後者は表面が疎水化された結果1-オクテン相に分散しました。いずれも、強く撹拌した時には反応がゆるやかに進行しますが、静置するとほとんど反応しません。これは、触媒が界面にほとんど存在しないためです。そこで、w-Ti-NaY粒子の表面を部分的に長鎖アルキル修飾したもの(w/o-Ti-NaY)を調製して二相系に添加すると、期待どおり二相の中間に多く存在する状態をつくることができました。この系では、w-Ti-NaYやo-Ti-NaYを用いて強く撹拌した場合を大きく上まわるエポキシ化物収量が無撹拌の状態で得られ、撹拌を行ってもほとんど変化しませんでした。これらの結果は、触媒の親水性・疎水性を制御することで、相溶性がない二相系の界面で触媒反応を進行させうることを示しており、さまざまな反応系への展開が期待できます。


関連論文・発表

生体内化学物質の不斉の起源を探る
[大谷・池田・パル]

半導体粉末による光触媒反応は環境浄化やエネルギー変換だけでなく、従来の反応系で得られないような特色のある有機化合物の変換反応に利用することができます。これまでに、さまざまな有機化合物の光触媒反応が知られており、われわれは、ある種のアミノ酸を基質とすると硫化カドミウム粉末上で立体選択的な反応が進行することを見いだしました。ところで、12族元素のなかでは、亜鉛とカドミウムの硫化物の光触媒作用については多くの報告がありますが、硫化水銀については30年以上前にひとつの報告があるだけです。硫化水銀は他の金属硫化物と同様に半導体として光応答するとが考えられ、その特異な結晶構造(水銀と硫化物イオンがらせん構造をとる)のために不斉な固体であることから、これが光触媒反応の選択性に影響することが期待されます。辰砂(cinnabar)として知られる硫化水銀の天然鉱物(単結晶あるいは双晶)を試料とし、硫化カドミウム系で検討を行ってきたリシンの光触媒環化反応によるピペコリン酸の生成系について、その活性を調べたところ、きわめて低いものの光触媒活性をもつことが明らかになりました。リシンからのピペコリン酸の生成反応では、リシンの酸化(正孔)段階と環状シッフ塩基中間体の還元(励起電子)段階の両者において不斉結晶表面での立体選択が期待できます。種々の天然鉱物、あるいは市販硫化水銀粉末を用いてDL-リシンの反応を行い、反応系に残存するリシンと生成したピペコリン酸の光学純度をキラルカラムを備えたHPLCによって分析したところ、天然鉱物の一部でピペコリン酸のエナンチオ過剰率が誤差範囲をこえて観測される場合がありました。現在、単離したピペコリン酸について円偏光二色性スペクトルによる解析を行っています。


関連論文・発表